機材トラブルと問題箇所の特定〜演奏者自身で問題を切り分ける


機材トラブルが発生した場合、予定していた機材を使えなくなってしまうことで演奏者には様々な動揺が広がります。

そうしたトラブルは絶対に避けたいものですが、動きのあるステージ、複雑な機材配線などでトラブルはより発生しやすい環境になっています。電気的な方法をとって発音する楽器にとってはこのトラブルは致命的です。

ここでは機材トラブル時の対処について考えてみたいと思います。

機材トラブル発生時の原因特定は難しい

機材トラブルはどんな楽器でも残念ながら起こります。問題はいつ発生するかということですが、このタイミングを自分でどうにかするのは難しい課題です。

個人での練習中であればその問題は小さく済みますが、リハーサル中、ましてやステージ本番となると色々と問題が発生します。

機材という点では比較的問題の少ないヴォーカルもマイクトラブルは発生します。ドラムは電子機器が少ないですが、位置がずれていくというトラブルに悩まされている姿を見ることは少なくありませんし、ヘッドが割れるなど、意外に多いと思います。

しかし、何より電子機器の存在に依存している楽器は機材トラブルを抱えると何もできなくなります。

電気的な意味での機材トラブルについて原因箇所となるのは以下の部分です。

  1. 楽器
  2. シールドケーブル
  3. エフェクター
  4. アンプ
  5. 電源

シールドについては各機材をつなぐ箇所の本数分に、エフェクターも使用する分だけトラブル発生可能性のある箇所になります。

また問題の発生の仕方は2つに分類することができます。

  • ハードウエアとしての故障
  • 設定、配線方法などの人為的な問題

これを瞬時に判断して修正するのは簡単ではないことです。足回りをサポートしているスタッフがいるようなプレイヤーでもない限りこれを見つけることは困難です。

ただし、人為的な問題は、簡単にチェックをすることで問題の箇所を発見できないとしても、最悪の事態は回避することが可能です。

フェスや対バン式のステージなど転換してステージが本番を迎える場合はボリュームをギリギリまで絞ってチェックしてみることが重要です。

よりシンプルな環境にする

とにかくトラブルが発生してしまった時にはどうするべきか。

これを確認したり、一時的に回避するにはまず一番シンプルな配線にしてみることが重要です。

それでもギターやベースなどでは3つの箇所が必ず残ります。

楽器、シールド、アンプの3つです。しかし、これにより3つのポイントだけに絞ることができます。ただ、演奏の都合上でエフェクターが必要な場合などはこの限りではありません。

また、いくらシンプルにしてもギターやアンプのボリュームが下がっている、あるいはインプットが違うといったことは発生します。また、この三箇所に問題がある場合は回復できません。

それでも重要な原因特定には向かうことができるはずです。この時、とにかくシールドについては高い信頼度が要求されます。シールドがダメな場合、全く何もわかりません。とにかく切羽詰まった状況ですので、もし全く音が出ない場合は別のシールドに変えてみる。次に楽器とアンプを変えてみる作業に移行してください。

本番中のボリューム変更は非常にシビアです。目視で関連するヴォリュームがゼロになっていないかを可能な限り確認してください。

また、慌てていると意外にあるのが差し込み口の間違えです。慌ててアンプのSENDーReturnやエフェクターのアウト側につないでいたケースはなぜか発生します。

自分もこうしたミスはやってしまったことがあります。後から考えるとありえない笑い話ですが、その場では慌てていてそれどころではありません(笑)。

トラブル発生時の切り離し箇所を考えた構築

何事も事前準備は重要です。

もし、何らかのトラブルに見舞われた時、どうするのかを事前に考えておくと意外に冷静に対処できます。

ですので、事前に3案ほど、出音が不安定になったり出なくなった時のことを考えておくようにすると、素早く対処できます。

これはどのような順番でチェックするかといったことでもかまいません。

まずはすべてのボリュームに関わるノブをチェックするということでもいいでしょう。それだけで冷静に対処できるようになります。

トラブル時に何をするか考えておくことと同時に、機材の中で切り離し可能な箇所を考えておくようにすることも重要です。

ボードやラックを組んでいる場合は、どこから切り離してつなげることができるのかを事前に把握しておくだけでもかなり対処へのスピードは違ってくるはずです。

メンタルのための機材の安心感

いろいろ書きましたが、結局、トラブル時にもっとも重要なことはパニックにならないことです。なぜなら演奏しなければいけないので、冷静な状態を保つことは非常に重要なことといえます。

そのためにはできるかぎり信頼性の高い機材を使うことが大事です。それでも中には求めるサウンドのために挙動が不安定なものを使う場面はでてくるかもしれません。

そうした場合こそ、その他の要素で不安に駆られるようなものは避けるべきです。また、そうした機材をできる限り安定して使用できる状態にしていくことが演奏の場面では重要です。

ギターもアンプももちろん故障はあります。そしてシールドも。

それでもできる限りトラブルなくSSHでは使ってもらいたいと思います。そのためにプラグ周りの補強を考慮した設計。また外れにくいハンダ付はもちろん、ハンダ後のしっかりとした冷却など、そのプロセスにも拘っています。

音の好みを選べることと同時に、安心して使えること、壊れにくいことなども楽器用のケーブルでは重要です。